前回の記事でMTF曲線図を読む時のポイント7つを解説しました。
ただ、MTF曲線図を読む上で一番注意しなければならない点があるのです。
それは、
測定方法
ここに注意しましょう。
以下詳しく解説していきます。
他社比較してはいけない!
MTF曲線図を読むことが出来るようになると、やりたくなるのが「他社比較」ですね。
同じ焦点距離のレンズを比較してどちらが好みに合っているのか知りたくなります。
しかし、MTF曲線図を作成する際には2つの測定方法があり、各メーカー表示している図の測定方法は異なります。
このため、異なった測定方法で作成されたMTF曲線図を比較しても意味がありません。
測定方法は2つ
波動光学的MTF
撮影に際し、実写で発生する回折現象を考慮して測定される。
結果的に表示されている図はユーザーの求めている実写に近い曲線を描く。
幾何光学的MTF
波動光学的MTFで考慮されていた回折現象を考慮しない測定方法。
ユーザーからすると使いにくい測定方法ですが、レンズそのものの素養を測る事ができます。
各メーカーにどちらか聞いてみた
ネット情報を参考にしても良いのですが、やはり一次情報が大切なこの時代。
実際にメーカーへ直接伺いました。個人の探究心にお付き合いいただいた各メーカーの方々、ご対応頂きありがとうございます!
メーカー名 | 結果 | 備考 |
---|---|---|
Canon | 波動光学 | |
Nikon | 幾何光学 | 特記が無い限り |
Sony | 幾何光学 | |
SIGMA | 波動光学 / 幾何光学 | サイトに2つとも掲載 |
TAMRON | 幾何光学 | |
TTartisan | 幾何光学 | |
Virtrox | (返信こず) | |
Tokina | (返信こず) | |
LAOWA | 問い合わせ中 | |
SAMYANG | (問い合わせページ分からず) |
ちょっと最近話題にも上がる海外のメーカーにも問い合わせをしてみました!
翻訳サイトにて日本語を英語に翻訳したので、意思疎通が図れていない場合もあるため、返信がこないメーカーもありました。
まだ、日本にも有力なメーカーが残っているので、そちらも後々更新していければと思っています。
こうやって見てみると幾何光学で掲載するメーカーが多いのですね。
確かに直線のようなグラフになり、測定方法を知らないユーザーが見たときには収差の少ないように見えるので、良い結果と思ってしまいます。測定方法の違いなので、それが悪いわけではありませんが、勘違いさせる可能性があるので傍らに記載知て欲しいですね,...
比べるなら同じ測定方法で
ここまで見てくると、CanonとSIGMA、特にSIGMAはユーザーフレンドリーな気がしてしまいます。
評価が悪くなる覚悟で波動光学を載せているのはとても好感を持てます。
他のメーカーは幾何光学なので悪いわけではありません。逆に言えば、幾何光学で統一されていればレンズの素養を測ることが出来るため、メーカー間で比較することが出来る可能性が上がります。
完全に比較することは得策ではありません。特に違う環境で測定しているのでメーカー間で比較することはオススメしませんが、収差による特性を加味していない幾何光学ならメーカー間でも参考にはなるかも知れません。あくまで参考ですが。
ルールを知ることも大切
こんなに各メーカー好き放題してて良いのでしょうか。
この規格についてはCIPAという機関があり、そこで規格について策定しています。そのルールブックなるものに明確な表記が無いためごちゃ混ぜになっているのだと思います。
なので、CIPAの公開しているPDFを覗いていみると、なるほど分からん。
↑、再配布の定義は書かれてなかったので、良いよね...?
眺めてみましたが、基本的にメーカーのためのルールブックなので、シロートが見ても分かりません。
さっさとCIPAが測定方法を決めて、掲載方法まで決めてくれると良いのですが、それまでは上記表を参考にMTF曲線図を眺めていくことになりそうです。
まとめ
メーカーも騙したいワケではないでしょうけど、見る側のユーザーも見るための下準備をしっかりしてMTF曲線図を見ていきましょう。
前回記事と合わせて読むことで、レンズ選びがより詳しく選定や吟味することが出来るようになりましたね!
最高の一本を手にするまで近くなったかも知れません!
また次のブログでお会いしましょう!